睡眠は年齢に関係なく健康を維持するために必要なものです。寝不足が長引けば体には良くありません。
日中の眠気、疲労蓄積、頭痛、集中力や判断力の低下などを招いてしまいます。最悪の場合は精神疾患、高血圧症、脳血管疾患につながることも考えられます。
睡眠を確保することにより心の健康や、よりよい生活を高めることができるでしょう。
今回は私たちにとって大切な睡眠についてお話します。
睡眠のメリットとは
質の良い眠りなら健康的な判断力、安定した精神力が伴うと共に快適な日常生活が過ごせますね。寝不足に大きく関係するのはストレス、寝る前にスマホを長く使うことです。
この様に良い睡眠を得るために知っておきたい「睡眠のサイクル」を説明します。
睡眠のサイクル
私たちの生活サイクルは、ほぼ同じ時間帯に近づくと眠気を感じます。いつもより寝る時間帯が、1、2時間遅くなるにつれて、さらに眠気が強く感じられます。
また徹夜をすると明け方には体が重く感じるほど眠気を感じます。午後になると一時的に眠気が軽くなり、またいつも寝る時間には眠くなる。このように睡眠にはサイクルがあります。
睡眠のメカニズム
睡眠には覚醒力と睡眠欲求の規則正しいリズムで訪れます。
覚醒力
体内時計(生体リズム)の指示により覚醒ホルモンの分泌・交感神経の活性化・深部体温の上昇し、活動的に動けます。
次第に覚醒作用が増大していき、その後就寝する時間の1時間前から2時間位前よりメラトニンが分泌され徐々に覚醒力が下がり眠気を感じます。
睡眠欲求
人は貯まった疲れを摂るために眠くなっていきます。起きている時間が長ければ睡眠欲求が高まり、睡眠をとることで睡眠欲求は無くなっていきます。
体の中ではメラトニンとセロトニンが、睡眠には欠かせないホルモンであり眠りのサイクルを補います。
メラトニン
脳器官の松果体から分泌される睡眠ホルモン。そして抗酸化作用があり活性酸素から体を守ってくれます。
メラトニンはセロトニンと大きなかかわりを持つ成分です。
松果体とは第三脳室の後方上に突起した松かさの形に似た小器官です。鳥であれば松果体が生物時計の働きと考えられています。
セロトニン
セロトニンは夜になると松果体でメラトニンの元になる成分です。そのためメラトニンを分泌させて睡眠欲求を満たすためには日中にセロトニンが分泌されないと困ります。
眠りのサイクルは以上の様なサイクルで起こります。
レム睡眠とノンレム睡眠
睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠のリズム感があります。
レム睡眠
レム睡眠=脳は活動・体は休息
レム睡眠中の脳は活動していて日中の出来事を整理しています。その時に人は連続ドラマのような夢を見ていると言われています。
急速な眼球運動が現れ脳波が軽睡眠期に入り、姿勢を保つ筋肉の緊張感が無くなり少し肌に触れても目覚めにくいようです。
レム睡眠中は多くの方が夢を見て、脈拍、呼吸、血圧が不規則となります。
ノンレム睡眠
ノンレム睡眠=脳は休息・体の緊張感は保つ
眠りの浅い段階からゆっくりと眼球運動がみられ、深い眠りになると眼球運動は停止、脳波の活動は低下、筋肉の緊張感は保たれて脈拍、血圧、呼吸が安定します。
ノンレム睡眠の時に起こされてしまうと、夢を見ていることは少ないが目覚めが悪い。ただしノンレム睡眠中には、成長ホルモン分泌と蛋白同化が行われ免疫増強作用へとつながります。
快適な睡眠をするための環境
ノンレム睡眠を繰り返して質の良い睡眠をとるために気にかけることは下記の通りです。
太陽に当たる
日中に太陽にあたることで体内時計が正しくコントロールされます。
起床時にカーテンを開けて太陽の日差しを浴びることは体内時計がリセットされ覚醒リズムが調整されて脳の活動を促します。
体内時計は24時間動いています。日中は太陽の日差しを浴びることで夜間にメラトニンの分泌量が増えます。
メラトニン分泌によってゆっくり睡眠に入れます。ただ就寝中はうす暗い照明でも人は中途覚醒作用を起こしてしまため、できるだけ照明は暗くすると良いでしょう。
部屋の照明を豆電球にしても中途覚醒してしまうのかしら…
そうですよ。就寝中はできるだけ照明に配慮したほうがいいのです。
室内の温度
布団に入ってから眠りにつく時間を短くするには、室温が過ごしやすい温度なっていることです。暖かくて気持ちいい温度であれば眠りに着くのは早いです。
鼻の頭が冷えてしまう程の室温は、眠りに着くには時間がかかるようです。対策として暖かい寝具類を使用すれば良い睡眠が得られます。
習慣化したいルーティーン
入浴後1時間から2時間後には布団に入り寝る習慣をつけましょう。
一日の疲れをとるために毎日の入浴を心がけましょう。入浴することによって体温が上昇して血液の流れが良くなります。
お湯の温度は高めの42度よりぬるい温度が適温、ゆっくりとお湯につかり汗をかくと良いですね。心身の緊張感が抜けてリラックス効果が期待できます。
適度な運動習慣を身に着けると程よい眠りに着く
日中に程よい運動をすることによって体は汗ばみます。血液の循環が良くなり汗を放出することによって体の深層部の温度が下がるため自然と眠気を催します。
筆者の経験から……疲れた時は眠りに入るのが早く目覚ましが鳴るまでは起きないのに、体をあまり動かしていない日々が続く寝つきが悪く時間がかかり中途覚醒してしまうことが…
やはり日中に体を動かすことは大切です。程よい疲れで「体動かしたなぁ」と感じるほどで良い眠りにつき、さらに体調を良くし免疫力を高めていくことにつながるなら体を使いましょう。
買い物、洗濯、掃除、犬の散歩(軽い)、子供と遊ぶ、自宅の階段の上り下り
ウオーキング、エアロビクス、太極拳、筋トレ、サッカー、テニスなどの有酸素運動
もちろん個人差があるので一概にこれが基準ではありません。
基本的な睡眠前の習慣としての読書や瞑想の効果
就寝前の読書は良い眠りにつくのだろうか…
寝る前に読書すると目がさえてしまいそうと思い込んでいませんか。実は読書することによって睡眠の質を高めることができます。
読書は寝つきが良くなる副交感神経が高まります。さらに好きな本を読むことでリラックス効果が上がります。
読書は電子書籍ではなく紙の本を読むといいよ。スマホなどのブルーライトはメラトニンの分泌を下げてしまうので睡眠の質が下がりますよ
就寝前の瞑想は良いのか
そもそも瞑想をした事がない人(筆者含め)は、瞑想にはどんな効果があるのかさえ分かりません。
瞑想をすることで「雑念」を防ぐ効果があると言われています。それは日中に起きた悩みや後悔、明日への不安を瞑想することで安らぎを得られるからです。
寝る前の1分間の瞑想で呼吸法を取り入れ、慣れてきたら3分、5分と伸ばしてみるのも……。瞑想をすることで心が落ち着き眠りにつく時間が短くなるかもしれません。
人によって瞑想が良い影響をもたらすか分かりませんが試しても良いのでは…
食事と睡眠の関係
朝食をしっかり食べて、寝る前に食べることを止めましょう。
睡眠にとってに良い環境作りや運動も良いことがわかりました。そして朝の太陽を浴びて朝食をとることで体内時計を正しく導くことにつながります。
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド」のデータによると朝食を一週間食べないでいると体内時計の後退から寝つきの悪さによる睡眠不足につながることが紹介されています。
参考文献:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
睡眠が与える健康と女性ホルモン
睡眠は健康の元
睡眠を取ることによって脳、心血管、代謝、内分泌、免疫、認知機能、精神的な健康を維持していくことができます。
良い睡眠ができていれば、眠気や疲労が原因からなる仕事上の怪我や自動車事故などのリスクが低くなります。さらに体の成長や記憶力を促進させます。
逆に睡眠が少なく眠りの質が悪くなると上記に挙げた7つに関連した疾病を発症するリスクが増えます。なんと寿命が短くなると報告されています。
また睡眠は女性ホルモンにも関係します。
女性ホルモンと睡眠について
女性の体には月経があります。月経前には心と体のバランスが整わない症状があります。
月経周期と女性ホルモンは大きく関係していて、黄体期*1には眠りが浅くなる傾向により日中は眠気が強くなります。
また月経時に鉄欠乏性貧血が強い人の中に、むずむず脚症候群*2が出てきて睡眠不足気味になる人がいます。
*1黄体期:卵子排卵後の10日前後の期間であり女性にとって体調が良くない時期、子宮内膜で受精卵が着床しやすくなる時期。
*2むずむず脚症候群:足の中を虫がはうような感覚、ほてり、かゆみ、痛み、夕方から夜に症状がでる。
中年層の女性では、閉経と加齢により眠りが浅く短くなる傾向です。そして更年期の女性はのぼせ、どうき、発汗(更年期障害)の影響から深い睡眠がとれなくなることで、眠れない症状が長く続き慢性化してしまうこともあります。
女性はホルモンバラスの関係で睡眠にも注意しないと…
女性だけでなくすべての人が、規則正しい生活や睡眠の環境作りは大切なのだよ
まとめ
良い睡眠を取るためには、朝日を浴びて朝食を摂ること、睡眠の1、2時間前に入浴して部屋はなるべくライトを暗くします。日常の行動と眠むるための環境作りは大切です。
ただし睡眠はストレスが強ければ強いほど寝つきが悪くなります、心と体が安定する状況になるよう毎日を送れることが大切です。
参考文献:厚生労働省「生活習慣予防のための健康情報サイト」より
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-002.html
・日中の活力が湧いてくることや、仕事も家事も集中して行うことができ毎日が適度なリズムで過ごせます。
・規則正しい生活をすることによって肥満防止につながり、いびきや無呼吸症候群を引き起こすことが少なくなるでしょう。