仕事や家事、育児、環境の変化によるストレスなど神経の疲れ、肉体疲労は蓄積されるものです。そんな時こそ栄養バランスの取れた食事を心がける事が大切です。
健康状態に合わせて自炊を始める事や食材の栄養価を理解することは、健康的な生活を導く事につながるでしょう。
例えば緑黄色野菜は免疫力を高めるビタミンC、Aを含み、魚類には心臓病予防に効果が期待されるオメガ3脂肪酸が含まれています。豆類と全粒穀物には食物繊維が含まれていて消化器系をサポートします。
これらの食材をバランスよく組み合わせて摂取することで体調を整え活力を高められることができそうです。栄養価の高い食材を使い自分好みのレシピを作ることが健康の第一歩となります。
今回は食材別に栄養素をまとめ、一部レシピも取り上げてみました。
疲れた時に摂りたい食品
疲れをとるためには消費したエネルギーを摂取することが大切です。さらに精神的な疲れに効果的なアミノ酸などを摂取すると良いとされています。
アミノ酸は体内でたんぱく質と構成する成分で筋肉疲労を軽減し筋力維持や向上に働きます。
たんぱく質は炭水化物、脂質と体のエネルギーとなる成分です。
注目したい食材は下記の種類です。
【お肉】
【豚肉】は疲れをとるためのビタミンB1が豊富であることや、そして糖質をエネルギーに変える大切な栄養素です。ビタミンB1が不足した時は脳や神経の働きに影響が出て、疲労や倦怠感を意識しするため不足しないようにしましょう。
肉の中でも【鶏むね肉】は抗酸化作用によって活性酸素の抑制を期待できるイミダゾールジペプチドが豊富にあります。
イミダゾールジペプチドとは動物の筋肉に含まれている成分、イミダは抗疲労感や運動パフォーマンス向上効果が認められている成分だから疲れているときは摂取したい食材ですね。
【レバー】
動物性たんぱく質のレバーはタンパク質と結合すると「ヘム鉄」になり吸収されやすい鉄に変化します。血液中のヘモグロビンと赤血球が増強していき、体に酸素を十分に取り入れることができます。貧血予防、頭痛など軽減されるでしょう。
重度の貧血は疲労感や倦怠感はもとより意識を低下させてしまいます。そのため鉄分を吸収しやすいタンパク質やビタミンCを一緒にとることが大切です。
【鰻】
鰻は疲労回復に必要な栄養素ビタミンEが豊富に含まれており、活性酸素を抑える作用と血液の流れを促すため疲労感を防ぐ役割を持ちます。
魚類の中では栄養価が高いウナギは、さらにビタミンB1やビタミンB2が含まれているので体のエネルギーが不足すると倦怠感と疲れを予防できます。
【魚】
魚介類には良質の動物性たんぱく質、ビタミンD、E、B12、必須ミネラル(カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)そして高度不飽和脂肪酸を含むDHA、EPAと、脳の発達促進、認知予防、血栓予防と健康維持に欠かせない栄養素がたくさん含まれます。
疲れをとるための栄養素
体に取り入れた炭水化物や脂肪などを代謝してエネルギー補給をするわけですが、上手にエネルギーにできないと疲れがでてきます。
体にエネルギーを蓄えるにはビタミン摂取が大切なのです。次はビタミンを含む食材を紹介していきます。
ビタミンB群
糖質をエネルギーに変える要素があり疲れをとるためには必要な食材です。
ビタミンB1:豚肉、玄米、大豆、ほうれん草、カツオ
ビタミンB2:レバー、卵、乳製品、アーモンド、ブロッコリー
ビタミンB6:バナナ、さつま芋、鶏肉、サーモン、ヒマワリの種
ビオチン
ビオチンは水溶性ビタミンで(ビタミンB群の仲間)皮膚や粘膜の健康維持を助けます。
参考食材
レバー、いわし、卵黄
ビタミンの多くは食事から摂取されますが、現代人は特に繊維質、ミネラル、ビタミン(野菜など)が不足気味なので豊富に取り入れてあげると良いようです。
パントテン酸
パントテン酸は多くの食材に含まれています。水溶性の(ビタミンB群)の仲間で、役割は糖質や脂質の代謝、皮膚や粘膜の健康維持に関わっています。
参考食材
レバー、子持かれい、ニジマス、納豆、しいたけ、アボガド、納豆
ビタミンC
ビタミンCは(化学名アスコルビン酸)といい免疫力を高める働きをします。
酵素で処理出来なかった活性酸素を抑える作用と抗酸化作用の働きがあるため皮膚や骨の形成に欠かせない栄養素です。
またビタミンCは体内で作ることができないので食材で摂取しましょう。
参考食材
キウイ、オレンジ、パプリカ、ブロッコリー、いちご、かぼちゃ、菜の花、赤ピーマン
ビタミンA
ビタミンAは視力、皮膚、粘膜、免疫などの機能に関わる事、欠乏すると夜盲症、皮膚乾燥を引き起こすことも考えられます。
参考食材
レバー、うなぎ、モロヘイヤ、かぼちゃ、人参、春菊、ほうれん草
ビタミンD
ビタミンDは腸管内でカルシュウムが吸収され骨の形成を促します。ビタミンは水溶性と脂容性とありますがビタミンDは脂溶性であるため取り過ぎには注意が必要です。ビタミンDは食品から摂取することはもちろん、日光にあたることでも取り入れられます。
参考食材
カジキ、鮭、いわしの丸干し、サンマ、うなぎ、きくらげ
ビタミンE
ビタミンEは脂質が酸化してしまう事を防止する抗酸化作用の効果を促し、細胞の健康維持につなげていきます。
不足してしまうと肩こり、首の凝り、腰痛や手足のしびれなど血液循環に問題が発生することが考えられます。
参考食材
種実類、植物油、ニジマス、鮎、ハマチ、うなぎ、かぼちゃ
ビタミンK
ビタミンKは血液凝固作用や骨の形成に関わり、ワルファリンカリウム*¹のお薬をを服用している人には制限があるので注意しましょう。
参考食材
納豆、カブの葉、春菊、小松菜、ほうれん草、ブロッコリー
*¹ワルファリンカリウムは血液固まりにくくして血栓ができるのを予防する薬
オメガ-3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は血中成分として形態を変えて毛細血管の中を巡ることができるため動脈硬化の予防につながると言われています。
ただしオメガ3は体内で作ることができないため食品で摂取しなければなりません。
オメガ3系統のDHA、EPAの脂肪酸は魚油に多く含まれていて脂肪を分解、脂肪合成を抑制することで体内に余計な脂肪をため込まない働きをしていると言われています。
偏食や毎日同じような食事内容では腸内バランスが崩れやすいようです。
毎日のメニューではできるだけ多くの素材を使いバランスの取れたメニューを心がけることで疲れの減少につながるのではないでしょうか。
それでは簡単に炒める、煮るのレシピを6つほど紹介します。
疲れを取り体に活力を付けてくれるメニュー
食材は冷蔵庫で保存できる期間は限られています。今回は近くのスーパーで手軽に購入できる材料で簡単な5つのレシピをお伝えします。
レバニラ炒め
レバーは動物性たんぱく質を吸収してヘム鉄になるので体内に吸収されやすく、ニラには、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンE 6 、カリウムが含まれています。
材料:レバー、もやし、にら、酒、塩、コショウ醬油、にんにくと生姜のすりおろし、オイスターソース、鶏がらスープ、片栗粉
レバーは氷水に10分程つけて臭みをとり、水気を切ったら酒、醬油、塩、コショウで味付けする、10分後片栗粉小さじ1を加えてまぜます。
フライパンに大さじ1を熱しレバーを焼き色がつくまで炒め、にんにくと生姜のすりおろし、オイスターソース、鶏がらスープを入れ香りが立ったらもやしとニラを手早く炒めシャキッと仕上げます。
タコとポテトとアボガドのガーリック炒め
画像引用:「おいしい健康」たことポテトとアボガドのガーリック炒め
https://oishi-kenko.com/recipes/20784
オリーブオイルでにんにくを炒めていきます。アボカドとポテトを入れ火が通るまで塩と黒コショウで味付けする手軽なメニューです。
豚ひれ肉のジェノベーゼマスタード
画像引用:楽天レシピ「豚ひれ肉のジェノべーゼマスタード」
https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1070032098/
ビタミンB1が豊富でエネルギー補給をして体調を整えます。
豚ひれ肉400gは1.5cmの厚さに切って塩をまぶし、フライパンにオリーブオイルで豚ひれ肉が焼き色がつくまで炒めます。火を止めてジェノベーゼとマスタードを加えてよく混ぜ合わせて醤油をで味を決めます。
かぼちゃのそぼろ煮
画像引用:白ごはん.com「かぼちゃのそぼろ煮」https://www.sirogohan.com/recipe/kabochani/
かぼちゃにはビタミンA、C、Eが含まれていて脂質の抗酸化作用をし皮膚や粘膜の健康維持を促します。
ひき肉を油で炒めそぼろを作り、かぼちゃを適量の水で煮立てあくをとり、だし、酒、砂糖、醬油で味付け、水溶き片栗粉でとろみを付けます。
モロヘイヤの味噌汁
画像引用:キッコーマンおいしい記憶を作りたい「モロヘイヤの味噌汁」https://www.kikkoman.co.jp/homecook/search/recipe/00005675/
にんにくとモロヘイヤの葉をみじん切りにしていつもの味噌汁の具として作る簡単メニューです。
豚バラ大根の白だしおかず鍋
画像引用:キッコーマンおいしい記憶を作りたい「豚バラ大根の白だしおかず鍋」https://www.kikkoman.co.jp/homecook/search/recipe/00051588/
大根は半月切りで鍋に敷き詰め、その上にバラ肉をかさねてまた大根とバラ肉をかさねて白だし、おろししょうが、ごま油で煮立てます。緑がないと寂しいので豆苗やネギを入れると彩りが良く繊維質が取れます。
思いつくレシピを6品あげてみました。どれも手軽に作れるので試してみてください。
まとめ
手軽なレシピで多くの食材を摂取し偏りがない食事をしていれば、ビタミンやミネラルが不足しにくく健康を維持していけそうですね。
自分の食生活を振り返り、不足しがちな栄養素を「健康食品」「サプリメント」に頼る方もいますが、頼りすぎるのも考えものです。
特にサプリメントは錠剤やカプセル、粉末と飲みやすくなっていますが過剰に摂取しないように心がけましょう。
内閣府食品安全委員会「健康食品」に関する情報には、サプリメントの過剰摂取で健康被害を起こす栄養素として(セレン、鉄、ビタミンA、D)などは過去には健康被害を起こした例がありますから適度に調整しましょう。
忙しい時でも簡単なレシピから栄養がとれることを意識して自炊生活を頑張ってみましょう。
参考文献:
東京医科大学公衆衛生学分野「労回復のヒント~前日の休みを残さず毎日をイキイキと過ごすために」
https://www.tmu-ph.ac/recovery/02.php
内閣府食品安全委員会「健康食品に関する情報」
https://www.fsc.go.jp/osirase/kenkosyokuhin.html
農林水産省「だから、お魚を食べよう!」
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1401/spe1_01.html
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